97人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
「昼の中央広場の騒ぎ、ヤナギ・アズ、君?」
ラスカ・ラスカは絞りたてのリンゴジュースを、アズとシオンの前へ置いた。
自分の飲み物はミネラルウォーターで、それを持ってトマス・カーカーの隣に座った。
「直接は関係してませんよ。買い物の途中でした」
素直に話す。
「でもね、少し無理がありますよ‥‥髭中将の髭でしょう」
アズはリンゴジュースを飲みながら、ラスカに対し顔を斜めにした。
「なんだい? 面白そうな話じゃないか」
トマス・カーカーが食い付いてきた。
「例の空賊イベントの話ですよ。イベントの順位で空賊団のテリトリーが増えたり減ったりするんです。それでね、今年のお題がギルネ・ザザ陸軍中将に〈参った〉と言わせる〈愛用の懐中時計を盗む〉それから〈中将の髭を剃る〉なんですよ」
アズは斜めにした顔をトマスに向けて、話を続ける。
「あ!」
突然アズがトマスの方へ上体を伸ばした。
「そう言えば、昼間見た髭中将ほど立派じゃないけど、トマスさんも髭があるじゃないですか?」
「‥‥まぁ、中将殿ほど立派じゃないけどね」
「クスッ」
ラスカ・ラスカが妙なところで笑う。
「髭中将の髭、上手く剃る方法はないですかね?」
アズの顔は、グイグイとトマスの髭に近付いていく。
最初のコメントを投稿しよう!