逃亡のレプリカ

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   森から浮かび上がったオカルトは、幾分、頭を下げぎみにしている。 「オメガは2機。オカルトより大きいわ。私達を見付けたみたい、速度を上げて2機が左右に広がった!」 「左に絞る」 アズは操縦桿を左胸に引き付け、右足のペダルを軽く2度踏んだ。 馬鹿げた斥力が大気を押して、台風に近い風が森の大木を揺らした。 「ラムダとアコーサのガチャガチャポンだ」  アズとシオンがG(加速度)によって目眩みをする前に、オカルトは左に展開したオメガとすれ違った。 「アズは操縦に専念して。コクピット内の斥力調整は私がする!」  加速度により脳に流れる血液が減少すれば、乗員は意識を失い(ブラックアウト)その逆の場合は視界が赤く染まる(レッドアウト) ブレーンシップの乗組員はそれを、コクピットに斥力を導く事で防いでいる。 「ラスカさんの言った事は本当だね。オメガからラムダを感じた」 オカルトは急激なUターンを開始している。 「それにしても変な形」  オカルトが交差したオメガには胴体が2つ。 それをやや湾曲した長い翼が繋いでいる。 「2つの胴体‥‥4人がかりで飛ばしているのか?」 だとすれば、8対2の戦い?   
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