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(F体の奴、パイロットがヤられているのは分かるはずだ。なぜ助けに出て来ない?)
多少の躊躇いはあるのだけれど、少年は若い。
ナイフ形の灰色を、コクピットへの入り口である場所にかざそうとした。
(えっ!)
灰色がローズマリーに触れた瞬間、頭の中の花畑が歪んでゆく。
「な、何なのさ、これ‥‥」
アズの脳裏、黄色い花のイメージに亀裂が入り、バラバラに寸断された。
飛び散った花びらは、やがてゆっくりと集まって1つの球体になり、丸い形はまた姿を変えて赤い髪の美しい少女のイメージで落ち着いた。
「マジかよ! ロブロ・ゼッタと言ったな。アイツはバキバキのノーマルだろ!」
そのロブロ・ゼッタ、ふらついた足取りで、翼の先端へ辿り着いている。
左の耳には、点滅する緑色の光。
それはイアーノウと呼ばれる通信機器で、人工的に作られた微弱な思考派を送受信する。
「軍人さん止めろ! そんな事したら精神が壊れるぞ!」
アズは翼の上で叫んだ。
おそらくサフスの空軍少佐は、軍事回線の思考波をレベルマックスで脳に押し込み、シオンが作るの花畑のイメージを消している。
なるほど、精神は焦げ付くだろう。
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