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「右に行った方のオメガ、大きく旋回して此方の後方につこうとしている」
「少々‥無理があるかなぁ?」
「EEを守りたいんじゃないの?」
「うん‥‥クロッカスね」
アズは目標を変える事をせず、フットペダルを踏み込んだ。
ダッホイの街に変化が見られた。
月の無い夜空を、無数のサーチライトが照らし始めた。
次いで3発の照明弾が空高く打ち上げられ、それらは雲を遥かに越した所で発光を開始して、小さな太陽の体でゆっくりと下降を始めた。
《オカルト、聞こえるか? ダッホイの防衛への協力に感謝する。支援機の飛来まで持ちこたえてくれ》
「はぁ、 どういう事?」
「そういう事よ」
郊外の高射砲が火を吹き始め、花火に似た散弾が空へバラ撒かれ、それの煙、サーチライト、照明弾、ダッホイの上空は戦場以外の何物でもない。
オメガの双胴の下には、それぞれに回転式の連装砲塔が付いている。
アズが追い付いた方のオメガのそれが、照明弾に照らされつつ砲口を後ろのオカルトへ向けた。
「中間物質弾、来る」
「奴の左を掠める。シオン、怯まずに応戦して!」
オメガが発砲を始める。
アズが操縦桿を前に倒す。
シオンがシート横のスティックを操作する。
昼の様に明るい、ダッホイの空。
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