逃亡のレプリカ

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  「当たった?」 「大丈夫、かすり傷さ。初志貫徹、最初のオメガに集中しよう」 アズは目一杯操縦桿を引き、フットペダルをベタ踏みした。 「アズ‥気持ち悪くなって来た‥‥」 「吐きたい時に吐いて良いよ」 アズはフットペダルに力を入れたままである。 地上の高射砲のどれかに上手が居るらしい。 オカルトとすれ違ったサメペイントを目掛けて中間物質弾を放ち、見事にそれの次の行動を妨げている。 「オメガ、以外と重いらしい」 オカルトは案外簡単に、初めの双胴の後ろを取った。 「シオン、ミニオカルト(ドローン)を奴にぶつけて!」 「り、了解」 シオンは右手のスティックを操作して、先程射出した無人機の軌道を目の前のオメガに合わせた。 (イケる!) アズが確信した時である。 オメガの片方の尻尾から何かが飛んだ。 「何さ?」 アズは警戒しながら操縦桿を左斜め前に倒した。 オメガが打ち出したのは丸い球体で、銀色のワイヤーを引いている。 《ブラッカの母艦を確認、揚陸挺を発艦させた模様》 ダッホイの軍事回線を、オカルトのコクピットが拾う。 オメガが打ち出したワイヤー付きの球体が、ミニオカルトを絡め捕ろうかという時、声がした。 《ヤナギ・アズ、お節介もほどほどにしときなよ》 アズは地上から伸びてくる、一閃の思考波を感じた。  
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