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地上から伸びて来た意識は速かった。
オメガが射出したワイヤー付きの球体。
そのワイヤーを切断してそのまま直進した。
「何あれ?」
シオンはスティックを回して、ドローンをオカルトに近付けた。
ワイヤーを切断した機体は白いイエロラである。
「君等、イエロラじゃ無理だって!」
「誰?」
「クロッカスとアルフレッド・ジャゲポーさ」
ワイヤーを切断され、一旦はバランスを崩したオメガだったが、一呼吸於いて湾曲した翼を翻すと、何かに怒った様な加速を見せて白いイエロラを追った。
サーチライトに曝した左側の胴体に大きなドクロのマーク。
ダッホイに飛来した目的の1つは、間違い無くEEの捕獲である。
「お節介にも程があるけどさ」
アズはフットペダルを、またまたのベタ踏み。
オカルトは再びドローンを腹に収めてドクロマークを追う。
東の空からの砲撃。
《ヤナギ・アズ、ダッホイの上空から離脱しろ。オメガ2機はミネラダの主砲の射程に入った。ダッホイ防衛への協力に感謝する》
イアーノウを用いた軍事回線からの、ラスカ・ラスカの声。
《ラスカさん止めてよ! クロッカスにも当たっちゃうよ!》
ミネラダの砲撃に対して、北の空からの応射がはじまる。
ブラッカの飛行母艦からのもの。
激しい光の線の往来が、月の無い夜空を焦がしてゆく。
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