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飛行母艦同士の砲撃を避け、アズのオカルトは低い場所を飛んだ。
ミネラダによる東からの砲弾のの青い光跡に、突然、赤い光跡が混じる。
《アズ、シオン、怪我しないうちに帰っておいで》
「ジャーンさん?」
《アルミナ、どういう風の吹き回しだい?》
《子分を守るのは親の務めさ》
《ふうん》
アルミナ・ジャーンとラスカ・ラスカが通信している。
アズのオカルトの前方にブラッカの揚陸挺が2機。
これも大地のスレスレを飛んでいる。
「ブラッカの揚陸挺、聞こえるか?」
《ザ───ツ‥‥‥》
アズは先頭の揚陸挺の前を掠めて飛び、2機目の揚陸挺の下を潜り針葉樹の森に激しい風を送ると、やや上空にいる護衛のオカルトに向けドローンを3機射出した。
ブラッカのオカルトは、ドローンに絡まれながら南に逃げたが、直ぐに白煙を吐いて夜の森へ落ちた。
「ブラッカの揚陸挺! 僕は本気だ。帰らねば落とす」
《‥‥》
直進を止めず、防御の弾幕を張っていた揚陸挺だったが、アズとシオンの操るドローンが戻って来ると、先ず先頭の機体が旋回を始め、2機目もそれに倣った。
「お利口サンだ」
アズは揚陸挺が去るのを確認すると、クロッカスのイエロラを援護すべく操縦桿を引いた。
「えっ? あれっ、あれっ」
フットペダルを踏んでもオカルトは機首を上げない。
「あれ? あれっ」
それどころか、高度まで落ちている。
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