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「アズ、電気系に異常あり」
「何だよ、そういうのは勘弁してよ!」
アズはコクピットのパネルに忙しく触れたが、オカルトは高度を上げない。
《ザ───ッ、オメガ2番機、レプリカ004を捕獲した。これより帰還する ザ──ッ》
「えっ?」
《ザ──ッ、了解した。1番機、援護する帰還せよ》
《ザ──ッ、1番機了解した》
「マジかよ!」
アズは必死に操縦桿を引きペダルを踏んでいる。
北の空から、複数のミサイルが飛んで、オメガ2機の撤退を助ける。
「ちくしょう! ちくしょう!ちくしょう!」
ガチャガチャガチャガチャ、操縦桿を倒す音がうるさい。
「アズ止めなさい! この機は落ちる。ラムダの斥力は全て、緊急着陸に回します」
シオンが左のパネルに触れると、アズのパイロットシートの電源が全て落ちた。
「何すんだよシオン! クロッカスが連れて行かれちまうっての! 辛い所へなんだぞ! 僕の膝の上で泣いてたんだぞ!」
「うるさい!」
シオンは大声を出したけれども、指先は冷静である。
パネルを操作しながら、熟知していないオカルトの緊急着陸の手順を確認している。
「アズ‥‥あなたに怪我をさせるわけにはいかないのよ」
「えっ?」
声が小さくて聞き取れない。
続いて大きな音と衝撃。
オカルトは森の巨木を数百m薙ぎ倒し、白煙を上げながら停止した。
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