逃亡のレプリカ

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  「なるほどナチュラルですか、私は専門外ですがデータをとってみたいものですね」 「ドクター、不謹慎だぞ」 アズはラスカ・ラスカの声で目を覚ました。 どうやら飛行母艦ミネラダの病室に居るらしい。 「気がついたか」 ラスカ・ラスカはアズの目覚めを確認すると、枕元のカーテンを開けた。 「シオン!」 アズは慌てての上体を起こし、パートナー、タニグチ・シオンを探した。 シオンはアズの隣のベッドで、スヤスヤと寝息を立てている。 「ふうっ」 アズは大きく息を吐くと、勢い良く、またベッドに横になった。 「気分はどうだヤナギ?」 ラスカ・ラスカは、心持ち茶色い軍服の腰を曲げた。 「シオンは大丈夫何ですか?」 「4日寝続けているが健康体だ。ラムダの使用は精神を消耗する。もうじき起きるだろう」 ラスカの返答に頷いた医者が、カルテを手にして病室を出る。 そのドアの閉まる音が、アズにダッホイの夜を思い出させた。 「あっ、ラスカさん! オカルトを貸してください。この船には沢山有るんでしょう? 1機だけで良いんです。クロッカスを助けに行く。お願いします!」 ラスカ・ラスカは、そんなアズを仏頂面でみている。 ───「アズ‥‥うるさい。もう少し眠ったら私も行くから‥私からもラスカさんにお願いするから‥‥」 起きているのか眠っているのか、シオンが目を閉じたまま口を開いた。 ラスカ・ラスカは仏頂面のままである。  
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