97人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
「なるほどナチュラルですか、私は専門外ですがデータをとってみたいものですね」
「ドクター、不謹慎だぞ」
アズはラスカ・ラスカの声で目を覚ました。
どうやら飛行母艦ミネラダの病室に居るらしい。
「気がついたか」
ラスカ・ラスカはアズの目覚めを確認すると、枕元のカーテンを開けた。
「シオン!」
アズは慌てての上体を起こし、パートナー、タニグチ・シオンを探した。
シオンはアズの隣のベッドで、スヤスヤと寝息を立てている。
「ふうっ」
アズは大きく息を吐くと、勢い良く、またベッドに横になった。
「気分はどうだヤナギ?」
ラスカ・ラスカは、心持ち茶色い軍服の腰を曲げた。
「シオンは大丈夫何ですか?」
「4日寝続けているが健康体だ。ラムダの使用は精神を消耗する。もうじき起きるだろう」
ラスカの返答に頷いた医者が、カルテを手にして病室を出る。
そのドアの閉まる音が、アズにダッホイの夜を思い出させた。
「あっ、ラスカさん! オカルトを貸してください。この船には沢山有るんでしょう? 1機だけで良いんです。クロッカスを助けに行く。お願いします!」
ラスカ・ラスカは、そんなアズを仏頂面でみている。
───「アズ‥‥うるさい。もう少し眠ったら私も行くから‥私からもラスカさんにお願いするから‥‥」
起きているのか眠っているのか、シオンが目を閉じたまま口を開いた。
ラスカ・ラスカは仏頂面のままである。
最初のコメントを投稿しよう!