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「しょ‥少年、俺の大切なモノに何か用か?」
ロブロ・ゼッタは、左の手で髪をグシャグシャにさせながら、翼の上のアズを睨み付けた。
《シオン、仕方がない、思考波をもう少し強く》
《駄目よアズ。少佐さんの精神がもたない!》
《だけど、こんなチャンスは逃せるかよ。 分かった、後は僕1人で何とかする》
アズがナイフ形の灰色を少佐殿に向けると、ロブロ・ゼッタも腰から抜いた銃の先を少年に向けた。
「少年、まさかとは思うが、それはラムダナイフか?」
松の枝をすり抜けた月光に照らされると、ロブロ・ゼッタはためらう事無く引き金を引いた。
《ブレーンからの力‥‥》
乾いた音が樹間に響いたけれども、鉛の弾はアズの太股を貫く事をせずに空へ弾かれた。
弾丸の軌道を空へ向けたのが、アズが思考波を使い次元の間(はざま)からラムダナイフへ導いた物を遠ざける力〈斥力〉
ラムダの斥力は更に渦を巻く。
そしてロブロ・ゼッタを強く押して、押されたロブロの体は強かに松の木の幹に打ち付けられた。
アズはその方向へ向け、翼の上を駆け出したのだけれど何かがおかしい。
頭の中がむず痒い。
《‥お願い‥ロブロ・ゼッタを虐めないで》
《誰さ?》
アズは翼の先端で立ち止まった。
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