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「キラン陸軍第12師団はね、他の師団の干渉を受けないのだよ。後方支援の為の軍で、戦局を独自に判断して参謀本部の作戦に独立して動く。そんな中で異能体の独自研究も行っている」
ギルネ・ザザの話を、ラスカ・ラスカが継いだ。
「ブラッカがラムダを持っているのは事実だった。監察部が掴んでいる別の情報には、12師団によるF体のサフスへの売却というのがある」
「そ、そんな‥‥そんな事、許されるわけがない‥」
グラスを持つアズの手が震える。
《ザ───ッ‥‥テスト‥テスト‥‥》
また聞こえる。
「──ホランの森。ダッホイから遥か北西の土地に、ブラッカの基地がある」
アルミナ・ジャーンは既に暮れた空を、窓からみている。
「太陽の翼計画」
「えっ」
「日本は沢山お金を使ってしまってね、第3次計画の遂行が困難になったのさ」
ジャーンは続ける。
「金銭的支援をキランから受ける代わりに、ラムダの情報と陸軍大学からの留学生を受け入れたのさ。ラスカと私はそれに選ばれ、太陽の翼計画のパイロット候補生と共に斥力を学んだ。柳雪也と谷口貫太郎は、ラスカと私の同期という事になる」
「ああ」
なんだろう。
アズはシオンと2人、キラン第2の都市ダッホイの空に浮かんでいる理由が、分かったような気がした。
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