ホランの森

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  キラン第2の都市、ダッホイの北西である。都会とは随分と離れた場所に、小さな湖を囲む巨大な針葉樹の群れがある。 ホランの森と呼ばれている。 針葉樹の枝々に隠れて、2階建のコンクリートの建物が点在していて、その中の1棟の中、鉄格子の扉の前で、栗色の癖ッ毛の青年ハナマ・ハーは困った顔をして膝を抱えてしゃがんでいる。 「どうだろう、そろそろ機嫌を直してくれないだろうか004EE。分かっているとは思うが、君がいないと我等がオメガは上手く飛ばないんだよ」 ハナマ・ハーが座っている廊下と鉄格子の扉で隔てられた部屋の中に居るのは、大きな浴槽に首まで浸かっている緑色の髪の少女と、革のソファーに座り、ハンディーゲームで遊んでいる年の頃12、3歳のブロンドの髪の少年である。 「クロッカスという名前にしました。何度も言わせないでください」 クロッカスが頭だけを出している浴槽は、彼女の髪の色と同じ緑色の液体で満たされており、ん、何だろうか? 廊下まで鉄の臭いが漂っている。 「分かったよクロッカスと呼ぶ事にするよ。おい、アルフレッド。君からもクロッカスにお願いしてくれないかなぁ」 「嫌だね。どうして僕が軍に協力しなきゃならないの?こう見えても空賊の跡取りだからね」 あれ? 予想とは何かが違う。 悲しい幽閉じゃないの? 正午を報せる鐘の音は、ホランの森を成す巨木と、それに囲まれている、小さな湖の鏡のような湖面に響いている。  
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