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ハナマ・ハーは年の頃35、6である。
鉄格子の棟とは別の建物の1階、大食堂で食事を摂る。
佐官級は個室での食事が可能だが、彼は決まって此処で食事を摂る。
入り口からすると1番奥の窓際の席が好きで、ブラッカの隊員達もそれを知っているから、その白木のテーブルは、ほぼ彼の専用席になっている。
首を傾げながらナイフを使う癖がある。
小さくした肉を口に運ぶと、窓の外を見る。
この席のこの椅子からだけ見えるキツツキの巣。
それをハナマ・ハーは誰にも教えない。
「おい、EEだぜ」
近くの席の若い兵士が、食堂に入った緑色の髪を見つけた。
「大佐もそろそろ本気になったようだ。見ろよ、オメガ組が嫌な顔をしてEEを見てるぜ」
若い兵士2が見ているのは、大食堂のほぼ中央のテーブル。緑色の髪の男女4人が、不味そうに肉を食べている。
「ハナマ大佐、此れにサインを」
鉄格子の棟でハナマ・ハーに問責書を渡した下士官が、窓の外を見ている癖ッ毛に1枚の紙を渡した。
ハナマ・ハーはそれの文面を読む事はせず、胸のポケットから抜いた万年筆でサインを書いた。
「大佐、読みました?」
若い下士官は不安な顔をしたが、ハナマはまた窓の外を見ている。
「アラン少尉、君が書いた返答文だろう?」
キツツキが1羽、その巣に帰って来た。
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