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001AAと002JJの前に座る緑色の髪は、12師団特殊部隊ブラッカでは006DD 007HHと呼ばれている双子である。
背が低く、無口である。
クロッカスとアルフレッドが入り口近くの席に座ると、兄のDDはナプキンで口を拭いて立ち上がり、妹のHHがそれを真似た。
一般の隊員がビュッフェ方式で自らの食器を自分で運ぶのに対して、オメガ組と呼ばれている彼等は食事の管理をされているらしい。食堂の作業員とは明らかに毛色の違う白衣が、空になったDDとHHの食器を下げに来た。
クロッカスとアルフレッドは、オメガ組と違った。
自ら食べたい物を選び、それをトレーに乗せて席についている。
食事を中断したソバカス顔のAAは、そのあたりからクロッカスを毛嫌いしている様だ。
「どうせ俺達は失敗作さ。けれどもJJ、アイツだって結局はラムダを使いきれてはいないんだ。アルフレッドをナチュラルにする為の道具さ」
AAはそれを言うと少しは満足したらしく、食べ掛けの肉にナイフを突き刺した。
ソバカス顔は食堂を出て行くDDとHHの背中を目で追いながら、その肉を口に運んだ。
隣の席では、相変わらず細い顎を動かしながら、JJが肉の塊を咀嚼(そしゃく)している。
今更だけれども、この人達には名が無い。
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