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「アルフレッド、それは君がいけない。食卓の椅子に座ったら、美味しい食事と楽しい会話に集中しないと」
ハナマ・ハー大佐である。
ブラッカの隊員達の昼食は午後の1時までである。
大食堂のホールに居るのは、掃除を始めた食堂の係員を除くと、クロッカス、アルフレッド、ハナマの3人だけである。
「クロッカス。現在、作業が可能なキランの偵察衛星は1機のみだ」
「‥‥」
クロッカスは無言でスープを口に運ぶ。
「サフスタワーは、おそらく完成した。タワーの発電所に石炭を運ぶ、多くの車輛が確認されている」
「‥‥」
「デデノイ大将は間違い無く‥‥あれをやる。同朋の多くが犠牲になるだろう」
「‥‥‥」
「その前にブラッカは動く。デデノイが送り込んでしまった子供達がサフスタワーで反乱を起こす前に、彼等を逃がし、オメガでサフスタワーを破壊する。今のオメガ組では無理なんだよ! ラムダを十分に制御出来てはいないんだ! 頼むクロッカス、分かってくれ」
───004EE。
クロッカスがホランの森に連れて来られたのは、今から14年前である。
3歳であった彼女の手を引いていたのが、当時、陸軍学校に在籍していたハナマ・ハーである。
季節は今と同じ初冬。
泣きながら白い息を吐く少女の顔を、ハナマ・ハーは忘れてはいない。
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