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ハナマ・ハーがホランの空を仰いでいる頃、ジャーン空挺団の飛行母船ドゴンゴは、その樹間から見える空を目指していた。
ドングリ型の巨体の下には、相変わらず左右に飛び出したオカルト(アズ号)の黒くて長い翼がある。
「なぁアズ、そのアズ号って名前、あんまりカッコ良くないんだな」
オカルトの重さをドゴンゴに任せる訳にはいかないから、アズはオカルトのパイロットシートに座り、ラムダの斥力で黒い翼を浮かせている。
メカニック・パイロットのストンコ・ウーはその後ろ。コアシートのパネルをパチパチ操作をして、何かのプログラムを確認している。
アズはシートの上にあぐらをかいて、右手だけで操縦桿を握っている。
上の方にあるパネルをぼんやりと見詰めながら、何かを考えているふう。
「おいアズ、聞いているのかい?」
「ラムダはね‥どうしたいんだろう」
「ん? なんだ?」
「あ、アズ号でしょう? ジャーンさんの命名ですよ。僕はそれでいいです」
《アズ、聞こえる? 遅くなっちゃったけど、フラワーとサファイアが揃ったからお昼をどうぞ。シオンさんの食堂に行っても構わないわ》
コアブースからの通信である。
「ありがとうリボン!」
アズはパイロットシートからクルリと体を抜いた。
ドゴンゴは一瞬だけオカルトの重さに沈んだけれども、ゆっくりと元の高度へ浮かび上がった。
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