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午後2時の食堂の客は、大柄なガジャラと黒縁眼鏡のロマァだけであった。
カウンターで背中を丸くしてスープを飲んでいる。
「おやおや、この3人で食事は何時以来だい?」
ストンコ・ウーはロマァの横のカウンターの席に座った。
カウンターの3人とアルミナ・ジャーンがドゴンゴのイエロラパイロットである。
キランの領空以外を飛んでいる場合は緊急のスクランブルに備え、パイロットの4人は交代で休憩や睡眠をとる。
アズは1人、ホールの丸いテーブルの椅子に座った。
「アズ、お腹空いたでしょ?」
白いエプロン姿のシオンが、ロマァのカウンターに水のコップを置いた後、アズのテーブルにもコップを置いた。
「おいアズ。ドゴンゴはホランの森の手前で西に進路を変える。アジトへ向かう。後は2人で何とかしな」
ガジャラはアズの方へ体を向けそれを手短に言うと、食堂お決まりの固めのバンに、大きな口でかぶりついた。
ガサツで大柄でデリカシーに欠けた風であるが、アズ達のためにドゴンゴの迂回航路をアルミナ・ジャーンに提案したのはガジャラらしい。
「ガジャラさん、ありがとう」
アズは航路変更の礼を言ったが、ガジャラのそれへの返答は、隣の席でスープを飲んでいるロマァのクリクリ頭を叩く事であった。
ゴツンゴツンと2回も叩いた。
航路変更のいきさつを知っているのは、ジャーンとガジャラとロマァだけであるから。
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