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アルミナ・ジャーンの部屋は船長室とは名ばかりの、空調機室の隙間をボードで区切った狭い空間である。
ドゴンゴの各所に繋がる有線電話が4台。パイプベッドが1台。丸い小さなテーブルに、小さい丸椅子が2つ。
壁には振り子のついた時計と、黒い革のロングコート。
細身のサーベルと、小さな額に収まった古い写真が掛けられている。
アルミナ・ジャーンは相変わらずの不機嫌顔で、プイと内線電話の方を向いて話す。
「アズ号にはドゴンゴに有るだけの12、7㎜中間物質弾を積んだ。それからお前の好きなイエロラ3番機の収納脚は取り付け済み。それから長距離連絡弾に‥それから‥‥」
「ジャーンさん、そんなに心配しなくて大丈夫ですって」
アズとシオンは丸椅子にチョコンと座っている。
「どうもお前達は無鉄砲でいけない。どう仕様も無くなったら、躊躇わずに連絡弾を射つがいい」
「はい」
アズは立ち上がり、壁の振り子時計を見た。
もう少しで午後の4時である。
「ジャーンさん、そろそろ行きますね」
時計の隣に飾られた写真。
肩を組む柳雪也と谷口貫太郎の両隣に、アルミナ・ジャーンとラスカ・ラスカ。
「見送りには降りないからな」
ジャーンは最後まで、内線電話を見ながら話している。
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