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「いた! 北北東、距離40、大きいのが1機と小さいのが2機」
「この感じは何だ?」
「アズ、躊躇ったら進めない」
「ああ」
アズは操縦桿を起こし、右のフットペダルを踏んだ。
アズの前にあるパネルでは、緑色の半球体がゆっくりと回転を始める。
「民間機の識別コードを確認。キランの商業用輸送機」
「ウソさ。キランだってサフスだって、日没後に民間機は飛ばない」
「チャフの雲を確認。ダメ、追いきれない」
「シオン、君の勘でいい。方向を示して」
「それならば、このまま直進。ギリギリまで速度を上げて」
ラムダへ外宇宙からの斥力を導くイメージ。
3次元空間への出口を求めている力の集まる点を探す。
そこへラムダを経由した思考波を送る。
点は線になり線は面になる。
面はやがて、その面と裏の力を持て余すと、空間の矢を放ち、斥力はその矢に乗ってラムダへ向かい渦を巻く。
───加速
───衝撃波
───更なる加速
「いた。検索」
シオンが素早くパネルに触れてゆく。
「確認。大きい機影、C337輸送機。小さい方2機、イエロラに似せているけど、サフスのベネネイ。胡散臭いわ」
「十分鉄臭いよ!」
アズは、座席横の赤いボタンを押した。
銃器の安全装置の解除である。
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