ロブロの馬鹿

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  ロブロ・ゼッタは持っていた銃を暗闇に投げ捨てて、ゆっくりと立ち上がった。 「サフスの占領区までは、遠いな」 西の方を見たロブロは、ポケットの中から棒状の物を取り出すと、未だ呆気にとられた表情のアズに渡した。 〈世界のワガママ〉 15年前に起きたサフス連合とキラン共和国とのいざこざである。 新物質と斥力が産み落とした悲劇である。 新しいチカラを生活に採り入れる過程で人々は様々な利害の対立を知り、小さな不満は引力を持ち始め、ワガママはワガママを呼んで、世界は2つの大きな集団を作った。 「少年、ローズマリーを翔ばせるのか?」 いざこざの結末は人工衛星の落下である。 新物質を積んでいた。 「僕の父は日本のエースパイロットだった」 「ほう」 「その父の記憶チップで育った」 アズの左の手首には、銀色のブレスレット。 「ほうほう」 落ちた新物質は地表の下の新物質に働きかけ、大地は至るところでひっくり返った。 「ところで、お父上の名前は?」 「ヤナギ・ユキヤ」 「ほ──お‥‥」  
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