サトゥーマ・ゼアンネの声

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《ザ──ッ、世界の諸君。聞こえているだろうか? 私はサフス連合議会議長、サトゥーマ・ゼアンネである》 「サトゥーマ‥‥だと?」 「どうしたのアズ! 思考波乱れ出してる!」 重力に翼を掴まれたアズ号の高度が落ちて行く。 そのアズ号の背後に2機目のベネネイが回り込み、腹に抱えたミサイルを離した。 「サトゥーマ‥サトゥーマ‥サトゥーマ、何だよ何だよ何だよ!」 「アズ、しっかりして!」 アズとシオンの脳裏に届いているのは、恐らく先程と同じ、サフスタワーからの思考波である。 サトゥーマ・ゼアンネの声は、アズの記憶に干渉している。 アズは明らかに取り乱して、左手のブレスレットの記憶が赤く光りだす。 「アズ、お願い! 操縦桿を引いて!」 シオンがスティックを動かしてドローンを呼び戻そうとした時には、ベネネイが放したミサイルは2つに割れ、無数の小型弾頭が、弱く落ちて行くアズ号を捉えようとしている。 「何なんだよ、この声! 誰なんだよサトゥーマ・ゼアンネって!」 墜落寸前でアズは操縦桿を引いたが、アズ号の右の翼は森の木々の枝をなぎ払い、小さな弾頭の数々は、そのアズ号の胴体に次々と触れて爆音と閃光と煙の渦で黒い翼を包んだ。 タイガの夜が、目を醒ました。
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