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《ザ──ッ、繰り返す。私はサフス連合議会議長、サトゥーマ・ゼアンネである? サフスタワーは完成したが、これを不毛と評する集団や個人がいる。タワーの完成には17年の年月と3000兆サファという巨額の予算を費やした》
「ハァ‥‥ハァ‥‥」
アズ号に命中したミサイルは7発。
その全てが中間物質を弾頭に仕込んでいる。
炸裂する火薬に紛れ込んだ中間物質は、閃光の度にアズ号の防御用斥力を削り、7発目が漸く無防備な左の黒い翼の付根に届いた。
《ザ──ッ、多額の費用、長い年月、これは人類の為に必要なものである。考えて欲しい。過去の歴史に於いて、我々は意見の相違から来る悲劇を幾度経験したか?所詮、言葉には限界があるのだ。言葉の壁を越えて人類が幸福を得る為には、新物質が不可欠なのである。斥力が不可欠なのである》
「チクショーッ!」
「アズ! 1機目が戻って来た!」
「シオン、ドローンをぶつけちゃって!」
アズ号は黒煙を吐きながら上昇を続けていたが徐々にその速さを失っていく。
上空から降りてくるベネネイの射程に入った直後には、その黒くて長い左の直翼を失った。
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