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「アズ! 」
「大丈夫! 」
激しい音と衝撃。
斥力の低下から来るG。
アズはパイロットシートの右脇のレバーを倒した後、右足のペダルをベタ踏みした。
片翼を失い落ちて行くアズ号へ向け、上から下からベネネイ2機の機銃が火を吹く。
ベネネイは弾丸を浴びせては手負いのアズ号と交差し、余裕の旋回を行った後は、再びの機銃掃射を行う。
「こんな所で、こんな所で落ちるわけにはいかないから!」
シオンはドローンのコントロールを諦め、思考波をラムダにのみ集めて懸命の防御用斥力の膜を貼る。
《例えばキランである》
サトゥーマ・ゼアンネの演説はつづく。
《キラン共和国は、サフス連合の未来への道を閉ざすことだけを考え、F体を金で売るという鉄面皮ぶりである》
「えっ! ラスカ・ラスカの言っていた事は事実なのか!」
アズは操縦桿を限界まで胸に引きつけた。
落ちて行くオカルトは必死にもがいて、残された黒い右の翼がギシギシと鈍い音をたてる。
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