サトゥーマ・ゼアンネの声

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《世界は、昔も今もワガママである。サフスの理想が理想の域を出ないのも、敵対勢力のワガママがある故‥》 「サトゥーマ・ゼアンネ‥うるさいから‥‥」 アズ号はコクピットの中までが小刻みに震えている。 アズのブレスレットも震え、赤い発光は其処へ閉じ込められている記憶の欠片を、アズの頭の中へ投じた。 ────『ヤナギ、私にはどうにも疑問なんだよ。キランはさて置き、何故日本はサフスの理想に同調しない? まさかラムダを独り占めしようというわけでもあるまい?』─── その次にアズの脳裏を占領したのが、空の高い場所からひたすら落ちて行くイメージ。 現実のオカルトにそのイメージが重なる。 「そうさ。キランもサフスもサトゥーマ・ゼアンネも、みんなみんなワガママが過ぎるのさ!」 オカルト(ブレーンシップ)の翼は揚力を得る為の物ではない。斥力を外界に放つ為にある。 アズ号は翼に塗り込んだアコーサの他に、コクピット下にはめ込まれたラムダナイフの斥力を使って進む。 「アズ号はまだ飛べる!」 そうだアズ。まだ飛べる。
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