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「シオン、異能体の特例って何?」
「ちょっと待って、いま検索してる。それよりも左上、オカルト2機、右上オカルト2機!」
「下降する、緊急脱出の準備も合わせて行なう!」
アズ号の向かう下の方角にも3機のオカルトが飛行していたが、こちらはドクロマークのオメガを追う役割らしい。直進のまま東へ進む。
「アズ、分かったわ。異能体が異能体として思考波を使えるのは10年前後、尚且つ自我の確立した異能体を軍は扱いきれない。使い古しの異能体の行く先が空賊よ。軍に籍を置いて10年を過ぎた異能体は、自ら空賊への道を選べる。これがキラン軍の異能体特例」
オカルト4機からの火砲は、疲れ果てたアズ号を楽々と赤い炎に包んで行く。
「分かってたよ、そりゃあ、異能体が使い捨てだって事位‥でもさでもさ、違うじゃん。そんなの、違うじゃん。ワガママなんだよ皆んな‥だから新物質は怒るんじゃん」
無数の中間物資弾の雨の中、アズ号は残された右の翼も失う。
翼はアコーサの斥力の源だから、アズ号はもう飛べない。
《ヤナギ・アズ‥聞こえるか?》
「クロッカス‥かい?」
《脱出しろ!》
アズは躊躇わずに、緊急脱出用のレバーを引いた。
アズ号の先端から、イエロラのコクピットが射出される。
《ヤナギ・アズ、お前は馬鹿だ。そして12師団司令部聞こえるか? ブラッカ所属004EEも特例を使う。私は今、すこぶる不機嫌だ。以上!》
サメペイントのオメガが、射出されたアズ号のコクピットを追う。
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