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《ザ──ッ、思考波は伝える力であり聞く力。サフスタワーが完成した今、我々サフス連合議会は聞く事が出来る。今の世界の不平と不満をである。例えばキラン。跳ねっ返りの極東の1師団が事を起こそうとしている。無駄な足掻きである。サフスのF体諸子は皆、サフスへの忠誠を約束している。彼等の安寧を捨てさせる事は悪である》
国境の海を遥かに超えた場所、雪を頂いた山脈にそびえ立つ高さ6000mの鉄塔。
極東の夜のワガママな叫びにまで、聞き耳を立てている。
そしてサフスタワーの耳、数百人は居るであろうF体は、何かしらの意識操作を受けている。
キラン軍第12師団の作戦計画は、根底から崩れていた事になる。
サフス議会議長サトゥーマ・ゼアンネのその自慢気を、アズは射出されたコクピットの中で聞いた。
その火薬の煙に巻かれた脱出ポッドの放物線に、サメペイントのオメガが並ぶ。
「僕はねぇクロッカス‥‥ガギガギの塔を壊さなければならないんだ」
オメガの片脚が脱出ポッドに伸びる。
《ヤナギ、あまり無茶をし過ぎると死ぬぞ》
ガシリと爪を立て、オメガの左脚が無茶な少年と少女を掴む。
「クロッカスさん、アズは私が死んでも守るの!」
クロッカスの乗るオメガは、それぞれの思いを大切そうに抱えると、眼下に見え出した海岸線に沿って、南へと翼を翻した。
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