ガギガギの塔

東京へ

アズとシオン、それからハナマ・ハーが乗り込んだのは、恐ろしく旧式の貨物船である。

〈世界のワガママ〉の後、新物質の研究の中心〈東京〉がサフスの占領下になっているのは前述した。

東京を抜き取られた日本は、当然ながら東と西の往来が遮断され、分断された国になっている。

地形的に東日本はキランとの交流があり、東京から西の地域は、漠然とした独立を保ってはいるものの、流通している通貨は、サフス連合の〈サファ〉である。

西政府、東政府。

無理に無理を重ねて続けて来た〈太陽の翼計画〉のツケかもしれない。

「北陸の三渡港だったね」

非正規ルートの船旅であるから、キランを発って暫くした後、アズ達が身を置いたのは、船底の暗い倉庫である。

「三渡は美味い蟹が揚がる港だと聞いた。無事に着いたら、シオンちゃんとアズくんに、たらふくそれを御馳走しよう」

サフスタワーは完成した。

そう言って横になるハナマ・ハーの左耳。イアーノウが緑色に光っている。