東京へ

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「誰だ!」 コートの内側からピストルを抜き、ハナマ・ハーが立ち上がった。 「軍人さんはだからイケない。貨物船で海を渡る事は、民間人にだって許されている」 小麦袋の陰から現れたのは、銀縁メガネの金髪。 小さなメモ帳を左手、ボールペンを右手に持っている。 「さっきからサフスタワーサフスタワーと言ってるけど、まだまだ紙による情報屋だって頑張ってるんだ、あんまり神経を逆撫でしないでもらあたいものだ」 ツカツカツカとやって来て、ハナマのピストルの上に紙製の名刺を置いた。 「サフスタイムズ主筆、メロウナ・チューリップ‥‥」 「大佐殿。サフスにまで名の知られた貴方にしては少々迂闊ですね。数日前に起きたキラン軍の内紛。それに関係した噂のナチュラルに、サフス議会は多額の懸賞金をかけた。記者の勘ですが、この2人がナチュラルなんでしょう?」 ハナマ・ハーは、ピストルをしまうタイミングを失った。
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