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上下にゆっくりと動く船倉。
明滅するオレンジの室内灯。
アズを膝の上で寝かせたシオンも銃に手を伸ばした。
「コラコラ、お嬢さんまで物騒なモノを出さないでくれよ。私に興味があるのは、記事のネタとしての君達であって、懸賞金の元になっている君達ではない」
メロウナはアズに構ことなくグイグイと顔をシオンに近づけると、彼女の手を押さえて話をつづけた。
「お嬢さん教えてくれ。一体ナチュラルって何なんだい? サフスの首脳部だって最近まで知らなかった異能体。ラムダの斥力を自在に操れるという噂だが」
「おい、記者さん。それが初対面の女性にとる態度か?」
ハナマ・ハーは足を踏み出し、船酔いのアズは上体を起こした。
「メロウナさんでしたっけ? あなた妙なモノを呼びました?」
「いや」
「何だろう? 変なのが近付いて来る」
貨物船の警笛が鳴り出した。
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