97人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
「船長、駆逐艦の目的は?」
「おいおい、舟客は引っ込んでな!」
貨物船の操縦室には、白い帽子を被った仏頂面の船長と、無線機の前に座るこれもまた白い帽子の若い船員。
「船長、駆逐艦の目的は?」
アズに続いて操縦室に入ったハナマ・ハーの問いには、無線係の若い船員が答えた。
「サフスの駆逐艦が積荷の臨検をするって言うんです。笑っちゃうでしょう? 此処はまだキランの領海だっていうのに」
「ふぅん」
続いて操縦室へ入って来たのはメロウナ・チューリップ。
「ヤナギくん、ぜぇぜぇ‥で、交換条件ってのは何なんだい? ぜぇぜぇ‥」
貨物船の人々がそうしている間にも、駆逐艦は等間隔での威嚇射撃を続けている。
「今から、あの駆逐艦をゲットします。あなたと、それからハナマさんにも手伝ってもらいたいんです。こんな昼日中です。ナチュラルを隠しませんよ」
貨物船のすぐ横で水柱が高く上がる。
「何なのよ全く! ガンガン飛んで来てるの実弾じゃない!」
最後に入って来たシオンは、水しぶきでビショビショで、すこぶる不機嫌そうである。
最初のコメントを投稿しよう!