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「船長さん、ありがとうございます。万が一がありますから、僕達が駆逐艦に乗り込んだら、この海域から離れてください」
アズ、は少々不満そうな船長に笑い掛けて操縦室を出た。
高い波が舷側で弾けて、細かな水しぶきがアズの頬を叩く。
「ねぇアズ、無鉄砲なところは何時もだから良いけど、X作戦ってどうする気?」
艦橋の階段を降りるアズにシオンが続き、靴底は鉄を叩いてカンカンカンカン。
「やりたくは無いけど、思考波の嫌なところを使う。その後は‥‥」
「その後は?」
「その後はね‥‥これから考える!」
段々をだいぶ残してアズは飛んだ。
濡れた木の甲板に着地したから、水がビシャンと跳ねる。
ハナマもメロウナも階段を降りて来るから、カンカンカンカン、カンカンカンカン。
アズは甲板の手摺の前に立ち、貨物船に並走する駆逐艦を見ながら背筋を伸ばして腕を組んだ。
シオンもハナマ・ハーもメロウナ・チューリップもそれを真似、横殴りの波しぶきは、彼等の頬を洗ってから顎を伝って下に落ちる。
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