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「世界のワガママで地中のクリルはかなり消えてしまったが、第1物質クリルの発見当初、キランは随分とクリルを集めてね。高高度に飛ばした軍用機から、それを大量にサフス領にばら撒いたのさ。新物質は核力を抑えるから、サフスの原子力は0になった。勿論サフスもそれを真似て、キランの原子力も0。馬鹿な話だ」
テト・ハーネメイが、またダラダラと話し出した。
秘書官はそれを、一字一句丁寧にノートへ書き写して行く。
「新物質から斥力が得られる事が分かったのはその頃さ。毎日クリルまみれになった鉱夫の中から、思考波を使うF体が現れた。F体は思考波を用いてクリルから斥力を導き出し、サフスとキランは、斥力の開発合戦を始める。行き着いた先は、キランタワーとサフスタワーの建造。キランが新物質を軍事利用しなければ、こうはならなかった」
ハーネメイは言いながらハナマ・ハーの顔色をうかがい、ハナマ・ハーは不機嫌そうに天井に視線を移す。
「お嬢さん。事の理屈はこうさ」
駆逐艦サザランドの艦長は、漸く穀物燃料の無駄遣いに不満を抱いている、シオンの問いに答えようとしている。
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