東京へ

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駆逐艦サザランドは、どうやら東を目指しているらしい。 北の海の波は高く、2000㌧の船は上下にゆっくりと揺れる。 「人が、焚き木だけを燃やす太古の生活へ戻るとしよう。けれどもそれには、長い長い時間が要る。回っている文明の歯車の速度を、徐々に下げて行かねばならないからだ」 テト・ハーネメイはグラスの水を飲み、チラリとハナマ・ハーを見て、続ける。 「サフスタワーは完成した。キラン領では勿論、サフス領内でも洗脳の塔とされて評判は良くない。けれどもサフスタワーは存在しなければならない。何故なら‥」 テト・ハーネメイの言葉にハナマ・ハーが天井からの視線を落とすと、ハーネメイはそれをかわしてアズを見た。 黒く澄んだ瞳をである。 「何故なら?」 「その物騒はキランの砂漠の中にある。2年ほど前からだ。長距離斥力砲〈スカラ〉の砲口は、サフスの首都へ向けられている。我々だけが、歯車の回転にブレーキをかける訳にはいかない」 「斥力砲? スカラ?」 アズの問い掛けに対して、ハナマ・ハーは背中を伸ばした。
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