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ローズマリーの胴体は涙型。
太った部分の扉がガシャンと上下に開いて、中の2つ目の扉がカチャンと横に開いた。
「ヤナギのグランドファザーが泊めてくれるらしい」
「そう‥‥」
扉の中へ頭を入れたロブロに、小さな声がこたえた。
(何これ?)
松林に足を踏み入れた時からの違和感である。
アズはその理由が知りたくて、少佐を真似て翼のアンテナをつかみ、少佐ほど上手にはいかなかったけれど、それを鉄棒代わりにして翼に乗った。
「アズ、どうしたの?」
翼の下からの声。
(あれ?)
松の木の陰から出て来たシオンと、ローズマリーのコクピットから漏れてくる呼吸がリンクしている。
アズはシオンと目を合わせただけで、その問いには答えずに、コトコトと銀色の上を歩いた。
《‥ヤナギ・アズ‥‥》
《何さ?》
ローズマリーの声にはこたえる。
《少佐は、サフスで1番の上手。オカルトに落とされたのは、私のせい。アナタと彼女に反応し過ぎた私のせい‥‥》
《‥ふうん》
アズは大佐の後ろへたどり着くとコクピットの中に半身を入れた白いパイロットスーツの肩先から、この機のF体の顔を見た。
「──おいおい」
紅い髪ではあるが、似ているどころかシオンである。
「冗談‥‥だろ?」
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