斥力じいと記者さんとラムダキー

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《ザ──ッ、只今ニュースが入りました。キラン西部のオーガリー地方で起きていた反共和国デモは規模を拡大しています。キラン政府はデモの鎮圧の為、軍の投入を始めた模様です》 「第2次帰還船?」 「アズ、何それ?」 「君達のブレスレットは、本当にお父上達の記憶の断片のようだね。太陽の翼計画は見事なまで極秘裏に進められた。取材を通しての予想に過ぎないが、第3物質ラムダは、どうやら木星の衛星軌道でしか採取出来ない。ラムダ採取船の打ち上げは合計3回。今、地球上にあるラムダは第1次帰還船が持ち帰った物。第2次帰還船は太平洋に落下‥‥」 《ザ──ッ、さて、今夜の特番です。今、サフスの若者に絶大な人気を誇るロックバンド、アナザーQの野外コンサートを生放送でお送り致します。どうぞ、お楽しみに》 「メロウナさん! 第3次帰還船は!」 ブクブクブクブク 「アズ君。キミは僕に記者失格の烙印を押したいのかい?」 「少年」 「何? 斥力じい」 「メロウナの妹はF体だった」 「え!」 「アコーサから斥力を取り出す異能体、レプリカになりきれずにサフス中央病院に入院したままだ」 斥力じいはドロドロの中でブクブクブク。 メロウナ・チューリップは鞄の口を閉めて立ち上がった。 「第3次帰還船はおそらくもうすぐ。おそらくもうすぐ地球に帰って来る。新月号はそれの受け取り船。宇宙にまで羽ばたく翼だ」
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