斥力じいと記者さんとラムダキー

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「メロウナさん、何だか沢山の事を教えてもらっちゃった。約束だからナチュラルを全て見せるよ」 食事を終えたアズは立ち上がり、同じく食事を終えたシオンも立ち上がった。 「ほほう。さすがナチュラルだ。思考波レーダーを介せずとも空母の接近を感じ取ったか」 斥力じいは少しだけ驚いたふうをして、サフスタイムズ主筆、メロウナ・チューリップの顔を見た。 駆逐艦サザランドの推力の源、F体部屋。 色とりどりのコードが、壁にも床にも猥雑である。 「斥力じい、接近して来る空母とは?」 「思考波レーダーからの感じだとベラレクスじゃな」 「まさかアズ君、ベラレクスの艦載機を奪うつもりじゃ!」 「へへ。分かっちゃいました?」 「へへって‥‥無理とは言わないよ。そう、言わない。けれどもベラレクスはサフス海軍の最新鋭艦だ。F体だって、もしかしたらアコーサを使うレプリカだって沢山乗り込んでいるかもしれない」 メロウナの心配をよそに、アズはF体部屋の鉄の扉へラムダナイフをあてた。 「シオン。悪いけど行き当たりばったりで行く」 「何時もの事じゃない」 ドアノブが斜め上に飛ぶと、中のビスやらバネもF体部屋のあちこちに飛んだ。 「サフスはこう見えて一枚岩じゃない。それと、ラムダシステムの再起動にはラムダキーとやらが要るらしい」 アズはメロウナの言葉を背中で聞いて右手を上げた。 廊下へ飛び出した。
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