斥力じいと記者さんとラムダキー

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サザランドからのミサイルは意外と正直である。ヘリコプターが射出した高温の金属片を追い掛けた。 海抜70m辺りで最初の爆発を起こして、残りの2発はその残骸を水面近くで捉えて火柱を上げる。 (サザランド、どこまで本気だ?) 二の手が飛んで来ない。ハナマ・ハーは首を傾げてアズの前のレーダーを見た。 「メロウナさんが言うにはですね、サフスも一枚岩じゃないらしいんですよ。サザランドとテト艦長はあっちの岩なんですよ。そんでもってベラレクスとかいうのがそっちの岩」 緑色に光るレーダー。 ディスプレイの左下から無数の白い線が伸びて来る。 「やっぱりそうだ。ベラレクスはそっち側の岩なんだ」 アズは右手に持ったラムダナイフを額にあてて、レーダーを覗いたシオンは操縦桿を胸に引きつける。 「シオンちゃん。高く飛んじゃ駄目だ」 水面を下からの防御に使え。ハナマ・ハーはそう言いたい。 「でもねぇ」 ラムダナイフから斥力を放ちながらアズは呟く。 「そうなのよ」 操縦桿を小刻みに動かしながら、シオンが相槌を打つ。
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