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(ニイフ・キーと少佐は言ったな‥)
ロブロ・ゼッタの手を握って、少女は立ち上がった。
シオンが健康的なピンク色の頬であるのに対して、この機のF体の頬は青白い。
「寒い‥‥」
F体は温室育ちだという。
秋の夜風は冷たく感じるのだろう。
「ニイフ・キー、君は一体‥‥」
誰なの? と、アズが尋ねようとした時、クインクインという警戒音が鳴り響いた。
ニイフ・キーの膝の前、コクピットのパネルがオレンジ色に輝き、ディスプレイにはエマージェンシーの文字。
「何かが来たな」
ロブロが見ている別のパネルには、何やら大きな雲が映し出されている。
「大きいよ、多分サフス狩りの母艦だよ。信号弾なんか上げるからだよ」
アズは背筋を伸ばし、北の方を見ている。
「そうか。マズかったな」
ロブロは今頃気付く。
「ニイフ・キー、ラムダを使いなよ」
視線を紅い髪の少女に移したアズは翼の上に腹這いになると、ローズマリーの胴体の穴に、灰色のナイフを投げ込んだ。
「ラムダに斥力を出させるにはコツがあるんだ。眉間に力を集めるようにして思考波を出す。いいかい?」
腹這いのまま言った。
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