斥力じいと記者さんとラムダキー

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ザ───ツ ザ───ツ ザ───ツ 『貫太郎──』 『どうした柳?』 『最短のルートで行く。その道の不都合は、あとでその都度対応する』 新月号はただひたすらに西を目指す。 『柳‥‥お前の好きなようにすればいい』 ザ───ツ ザ───────。 《ヤナギ、約束だ、大佐は預からせてもらう》 双胴のオメガ。左側の胴体のキャノピーが開いた。 飛翔をやめた斥力は全て、防御の為の力となる。 ふわんふわんと弾丸が逸れて飛ぶ。 スクラップと化したヘリコプターの後ろのドアを、ハナマ・ハーが蹴り開ける。 「アズ君。真っ直ぐに飛ぶのか?」 渦巻く斥力がハナマ・ハーの癖っ毛をバタつかせ、同じくドアを蹴り開けたアズはシオンの手を引いている。 「此処まで来たら止まれませんよね。」 そう、止まれない。 「妬けるなぁ、純粋なナチュラルってのはこうなんだ」 オメガのパイロットシートで、アルフレッド・ジャゲポーが立ち上がる。 「ヤナギ・アズ、最大限の助力をしよう。走れ!」 EE クロッカスは首に巻いていた銀のネックレスを投げた。 ベネネイの停機している方、遠い所へ投げた。 「ありがとうクロッカス」 アズはシオンの手を引いたまま駆けた。駆けて駆けて飛んで、銀色のネックレスを掴んだ。
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