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白いベネネイは単葉の可変翼。斥力で前に進み、翼が作る揚力で飛ぶ。
同じ旧式機、キランのイエロラと構造がすこぶる似ている。
《ザ─ツ。ベネネイ、そちらには発艦命令は出ていないぞ》
「へっ?」
ベラレクスの管制室からの声であるが、想像するに其処はT200への闖入者を把握していない。
《おいT200。こちらは引き返せと言っている》
管制室からの声は続くが、アズは既に右足のペダルを思い切り踏み込んでいる。
「ぷっ、何で引き返さなきゃならないのさ。ねぇ、シオン」
ベネネイは加速を続けているから可変翼は胴体とひっついて、ひっついたと同時に機体は音速を楽々と超えたものだから、ドカンという衝撃波が北の海に伝播する。
「そうよ。斥力が尽きるまで飛ぶわ。ねぇT200」
T200は人格型ナビ搭載型の年代物だから、一応の流れをシオンはコンピュータに振っただけ。
《ザ─ツ、T200。応答が無ければ、軍律1条112項に即して撃ち落とす》
「何それ?」
シオンを振り返るアズ。
「何それ?」
人格型ナビに問い掛けるシオン。
《ザ─ツ、聞こえているのかベネネイ》
[うっさいなぁ! こちらロブロ・ゼッタ少佐だ。軍律2条003項の行使だ]
「えっ?」
「えっ!」
《了解した。武運を祈る》
ええ~
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