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[それではアズ様、西東京飛行場へご案内致します。宜しいですか?]
「よろしいも何も、始めから目的地は東京だし」
[左様ですか]
アズは操縦桿から離した手を、頭の後ろで組んだ。
フッドペダルから外した足は、前方のパネルの空いた場所へ投げ出した。
[アズ様は少々行儀が悪い。メモメモ]
カチャ カチャ クイックイッ
ベネネイはあっさりと自動飛行となりカラの操縦桿はやや左に倒れて、カラのフッドペダルは右右左左、小刻みに上下する。
[お嬢さんもお疲れ様でしょう?
この機は旧式、推力さえ頂ければ翼の揚力だけで飛べます。キランの勢力圏を避けて行きます。少々お眠りなさい]
T200はそう言ったが、シオンの返事は既にスヤスヤととした寝息である。
[なるほど、かなりお疲れのようだ]
コアシートのディスプレイは消えて、代わりにアズの前の画面にT200の文字。
[アズ様、 ひとつお聞きしたい。シオン様とニイフ・キー様とは、どのようなご関係なんでしょう?]
「ん!」
アズは閉じようとしていた目を、大きく開けた。
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