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異能体が見る夢は、この宇宙と別宇宙の間(はざま)にある。
我々の宇宙は単体でこの世界に存在しているのではない。10を超える宇宙が重なり合って存在している。
その数は次元の数と言い換えても良い。
繰り返すが重なっている。
我々の宇宙は膨張を続けているが、外宇宙の1つは収縮を続けている。
膨張に手を貸しているのは見えない斥力と考えられそうだが、膨張は引力の希薄化によるもので、外宇宙の斥力がこの宇宙の加速を抑えている。
我々はそれを感じる事が出来る。
この世界で最も速い〈思考〉によって。
光が何億光年を掛けて届いた距離を、我々の思考はひと跨ぎにする。
その行為が思考波であり、跨いだ距離が時空の間である。
《ザ──ッ、ベネネイ応答せよ。飛行の目的と目的地を述べよ。こちらは極東12飛行小隊だ》
アズの意識を深い場所から引きずり出したのは、旧式のイアーノウから届いて来るガサガサに乾いた声。
[こちらT200。作戦飛行の自由を有する機体だ]
《ザ───ッ、先程議会でアデュム作戦の発動が認可された。その特例は認められない》
[エマージェンシーだ!!]
T200の絶叫の直ぐ後、ベネネイのコクピットのパネル全てが、赤く発光した。
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