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ベネネイを挟んで飛ぶ2機のシャーイー。
白い可変翼と青いX翼は、触れようかという近さである。
ベネネイのクリルはその可変翼の軸に埋め込まれている。
朝陽に照らされる雲の遥か上空。
ベネネイのその翼の軸から、キラキラと光る黄色い粉が後方へ向けて拡散して行く。
シャーイー2機は左右からアコーサの斥力をベネネイにぶつけて、力的に弱い第1物質クリルをを押し出している。
減速と下降を始めたベネネイであったが、それは再び上昇を始める。アズとシオンが2つのラムダナイフの斥力だけで、どうにか体勢を立て直そうとしたから。
けれども2機のX翼はそれを許しはしない。
回転式の砲塔をベネネイに向け、容赦無く砲弾を撃ち込んだ。
ラムダの斥力はもはやその防御にのみ回されて、火炎に包まれたベネネイはシャーイーに挟まれたまま雲を下へと突き抜けた。
《ザ──ツ。アズ‥シオン‥諦めないで!》
声の後、シャーイー2機は右と左へそれぞれが翼を翻した。
アコーサの斥力と空を引き裂いたのは、赤く陽光を弾いている銀色の機体である。
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