ニイフ・キー

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「アズ、今の声は!」 「そんな事より、シオン、非常用のバッテリーとか生かせないの?」 落ち行くベネネイのコクピットである。 「もう少しなんだ。東京はもう直ぐのはずだ!」 「180度スクリーンと操縦系統のみ。5分!」 「じゅうぶんだ」 再び外界を映し出したキャノピー裏のスクリーン。 ベネネイの真上を掠めて行く2本線の入った銀色の翼。 「やっぱり‥ロブロ・ゼッタ‥‥」 《ザ──ツ。やはりヤナギ、君だったのか》 飛び去るロブロのローズマリーへ、反転を済ませた001が銃弾を浴びせ、それと入れ替わりに海側から戻った002がミサイルを発射する。 《ザ──ツ。ロブロ少佐、何のつもりだ!》 《ザ──ツ。12飛行小隊シャーイー。ここは既に東京圏だ。ブレーンシップ等を撃ち落とす事はならない》 3本の斥力が、縦横無尽に交差する。 《アデュム作戦である》 《連合下院議会の可決を経ない全軍作戦など、私は認めない》 《ザ──ツ。少佐、私情を絡めて飛ぶなんざ、笑えるナンセンスです》 《ザ──ツ‥‥‥》
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