97人が本棚に入れています
本棚に追加
「少佐! ローズマリーじゃ無理だ!」
ボロボロのベネネイ。
アズは堪らずに操縦桿を引いた。
《ザ──ツ。ヤナギ! 真っ直ぐに飛べ!》
「えっ‥‥」
サフスの主力機とは言え、ローズマリーの斥力はベネネイと同じクリルのもの。アコーサの力で飛ぶシャーイーとは、加速、スピード、旋回力、全てにおいて大きく水を開けられている。
けれども成る程、勲章3度のエースパイロットである。最新鋭機2つと、見事互角に渡り合っている。
そして、アコーサの斥力がそうさせるのだろうか? 既にX翼のパイロット達の興味は、2本線のローズマリーにしかない。
銃声と火花と黒煙を空に撒き散らしながら、ベネネイとは遥かに離れた場所で、ワガママな飛翔を続けている。
(少佐のローズマリーの負けだ)
アズの中のナチュラルは、結論を出した。
「少佐、もう良いから逃げて!」
空戦の場所へ向かおうとするアズに、思考派の声が届く。
《アズ。シオン。ここから逃げなければならないのはあなた達‥‥ザ──ツ》
「ニイフ・キー、駄目だ! ローズマリーは落ちる!」
ガガガガガガガガ ガガガ
《ザ──ツ。ヤナギ、真っ直ぐに飛べ! 構わずに東京を目指せ。この機体‥‥お前に呉れてやった事を、まさか忘れちまったか?》
ガガガガガガガガ ギギギギ ガガガガガガガガガガガガガガガガ
最初のコメントを投稿しよう!