ニイフ・キー

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「少佐! ローズマリーじゃ無理だ!」 ボロボロのベネネイ。 アズは堪らずに操縦桿を引いた。 《ザ──ツ。ヤナギ! 真っ直ぐに飛べ!》 「えっ‥‥」 サフスの主力機とは言え、ローズマリーの斥力はベネネイと同じクリルのもの。アコーサの力で飛ぶシャーイーとは、加速、スピード、旋回力、全てにおいて大きく水を開けられている。 けれども成る程、勲章3度のエースパイロットである。最新鋭機2つと、見事互角に渡り合っている。 そして、アコーサの斥力がそうさせるのだろうか? 既にX翼のパイロット達の興味は、2本線のローズマリーにしかない。 銃声と火花と黒煙を空に撒き散らしながら、ベネネイとは遥かに離れた場所で、ワガママな飛翔を続けている。 (少佐のローズマリーの負けだ) アズの中のナチュラルは、結論を出した。 「少佐、もう良いから逃げて!」 空戦の場所へ向かおうとするアズに、思考派の声が届く。 《アズ。シオン。ここから逃げなければならないのはあなた達‥‥ザ──ツ》 「ニイフ・キー、駄目だ! ローズマリーは落ちる!」 ガガガガガガガガ ガガガ 《ザ──ツ。ヤナギ、真っ直ぐに飛べ! 構わずに東京を目指せ。この機体‥‥お前に呉れてやった事を、まさか忘れちまったか?》 ガガガガガガガガ ギギギギ ガガガガガガガガガガガガガガガガ
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