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それは大きなどんぐり型である。
その上で灰色の巨大なローターがゆっくりと回転している。
おそらくは、海を渡ってキランの領土から飛んで来た。
この大きさなら、小型のブレーンシップを3機は積んでいるだろう。
空賊と呼ばれる彼等は、世界中の空に浮かんでいる。
無国籍のアナーキーとされるが、後ろにキラン共和国がいることは疑いようが無い。
彼等の飛ばす機械の多くは、型の古いキラン製であり、彼等が東側のブレーンシップを落としたとの話は聞かない。
どんぐり型はローターの新物質クリルの斥力で浮かんでいる。
10人以上のF体が要る計算。
だからどんぐりの周りには、得体の知れない思考波がうじょうじょしている。
月明かり。
ちらちらと星。
「大きいわね」
「うん、デカい」
鉄の味がして気持ちが悪いし、ぐじゃぐじゃの思考波のもつれも気持ちが悪い。
「あれを‥‥」
何だアズ。
「あれを手に入れられるかなぁ」
またかよ、アズ。
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