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「ロブロ・ゼッタの馬鹿!」
《ザ────────》
遠く西で、ローズマリーは光った。
墜落の途中、大きな爆発を2度起こした様だが、ベネネイからはあまりに離れていたために良くは分からない。
「アズ‥‥ローズマリー、何だか懐かしい感じがした‥」
「ああ、僕もさ」
───ドスン
コクピットに振動が伝わると、ベネネイは回転を始めた。
斥力で防御をしていたとはいえ、限界を超えた速度で飛んだ機体に、呆れる程の銃砲撃を受けた。
右の翼を失った。
眼下に見えるコンクリートの海岸線も回る。
───ドスン
次に失ったのは左の翼。
「T200‥ありがとう。東京の海だ」
コクピット前のパネルは暗いままで応えはしないが、アズはこの旧式機の思考型コンピュータが笑いながら頷いてくれた気がする。
「シオン、降りるよ」
アズはシート右横の赤いレバーを引いた。
火薬を用いてのコクピットの射出。
もうじき冬を迎える、冷えた東京の空である。
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