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1階に着いたエレベーターのドアが開こうとした時、横のパネルにまた地下通路で見た顔が現れた。
《少年‥友松屋の牛丼、美味しかったぞ》
顔はそれだけ言うと、すうっと消えた。
アズは取り敢えず親指を立てて、goodのサインを消えてしまった気のいい奴へ送った。
そして駆けた。
シオンをおんぶしたまま駆けた。
「大丈夫だよアズ。私もう立てるしもう歩ける。違った、走れる!」
「シオン、僕はこのままで走りたいんだ。宿舎の駐車場にある柿丸快衣の車まで走る!」
「ぷっ」
ワサワサと平らな道を走ると、先ほど地下へ降りた入り口に、先ほどと同じ姿勢のまま、若い兵士が立っていた。
「おい君達、今、飛び立ったブレーンシップは何だ! 君達だけどうして地上に出て来たんだ?」
若い兵士は間近で見たドーマの大きさに我を忘れていたのだろう。全軍作戦が行われている最中なのに、肩からさげたライフルの銃口は、ダラりと下へ下がっている。
「僕達はロブロ・ゼッタを助けなくちゃならないんです。太陽の翼宿舎へ1番近い道はどっちです? あっち? それともこっち?」
サフスのエースパイロットを助けに行くという少年は、女の子をおんぶしてゼイゼイと息をきらしている。
「ゼ、ゼッタ少佐の救出だと! こっちだ! 宿舎への近道はこっちだ!」
入口番の若い兵士は、ライフルをブラブラさせながら走り出し、商店街の小道を左に曲がった。
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