新月号

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ぽん アズの肩をロブロ・ゼッタが軽く叩いた。 ガシャリ 兵士の1人がライフルを放り投げた。 「サフスも色々と間違ってますね」 めくれたアスファルトに腰をおろした兵士は、ロブロ・ゼッタに同意を求めているふうである。 「間違っているのはサフスだけじゃないけどね」 晴れた空に、忘れた頃の飛行機雲。 ───『ユキヤ! ユキヤ! ユキヤ───』 LOSTの文字へアルミナ・ジャーンは転げるように進み、スクリーンには2機編隊のローズマリーに対しての注意喚起の文言が、時を遅くして映し出されている。 片方が陽極となり片方が陰極となる電子攻撃あり。 泣き崩れるアルミナの背中に、事務的なナビゲーターの声が届く。 『新月号の脱出ポッドの射出を確認しました。生存反応はありません。再度確認します‥‥‥生存反応ナシです。もう1度確認します‥‥‥』 『もういい、新月号の機体の回収作業に移る』 主幹の低い声である。
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