新月号

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「アズ‥‥‥ナチュラルとかね‥‥ナチュラルとかね‥‥‥それは私達の傲慢だったの‥‥それでね」 「シオン、無理に話さなくても良いよ」 アズはシオンの肩に優しく手を置いたけれども、彼女の目からは次から次へと涙の粒がこぼれ落ちる。 「ニイフ・キー、思い出してしまったんだね」 ロブロ・ゼッタは右の手でニイフの肩を抱いて、左の手を軍服の内側に入れた。 「サフスはね、随分と長い時間を使って新月号を捜したんだよ。けれどもその巨大な翼を見つける事は出来なかった。あの海さ、此処から見えるあの海に新月号は居るはず。君達なら捜し出せるんじゃないかな」 ロブロ・ゼッタが上着の内から取り出したのは、松林の夜にアズがローズマリーの傷口へ投げ入れたラムダナイフ。 「少佐。漠然としてるけど、なにかが分かりかけて来た気がします。そして新月号。捜さなくてもほら、僕達をしっかり見つけてくれたみたいです」 午後の光を浴びた海に、白い垂直尾翼が線を引いている。
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